「どうしたんすか!? 今日はもう、此処には寄らないって聞いてましたけど……」
葵さんに話し掛けたのは、木田さんの待つコンビニの駐車場まで連れて行ってくれた田中さんだった。
「急遽、予定変更になった」
それに素っ気無く返す葵さんは、さっさとバイクのエンジンを切って降りてしまう。
隣に止めた蓮さんも、バイクを降りてタバコを吸っていた。
「……魁、どうする?」
葵さんの問いに、振り返って私の顔を見ると溜め息を吐いた魁さんは
「───様子を見て出る」
言葉を返してエンジンを切ると、バイクを降りた。
いつものように、私の両脇に手を差し入れて降ろしてくれる魁さんに
「ありがとうございます……」
お礼を言いながら頭を触れば、バイクで走ったからか髪の毛はボサボサ。
慌てて手櫛で直すけど、風で舞った髪の毛は手櫛で直せるようなものではなかった。


