人の顔見て笑うって、何気に魁さんも葵さんも失礼じゃないか?
って言うより、最近は何処に行っても女扱いすらされていない気がするんですけど……


「……はぁ…」


自分の女子力の無さを痛感して視線を下に落とせば、視界に入った腕時計。
その時間を見て驚いた。


───えっ!? もう、7時なの??


道理で体が冷え切っているわけだ。
学校を出てから既に2時間は経過している。

さっきから指先は悴んで痛いし、体の震えが止まらなかった。

そんな私の様子に気が付いたのか


「寒いから、早く家の中に入れ」


促す魁さんに頷いて、鞄の中に手を入れて鍵を探す……探す…探……


「なっ、ないっ!!」


私の叫びにピクリと反応した魁さんの片眉。

いくら、鞄を引っくり返してみても目的の鍵が出てこない。


「───お前、まさか……」


魁さんも嫌な予感がしたのか言葉に詰まる。