Wonderful DaysⅠ



その緊張感のない声に、皆が振り返る。

集団の中からは「総長!」と言う声が聞こえてきて、今まで殴り合いをしていた男達はその手を止めた。


「──白石……」


こっちを見て呟いたイケメンさんも、集団の中心にいたカイさんも動きを止める。

それに気を良くしたのか、私の背後にいる白石と呼ばれた男は


「動くんじゃねぇよ? もし動いたらこの女がどうなっても知らねぇぞ」


勝ち誇ったかのように鼻で笑った。


「てめぇ……」


白石を睨みつけるイケメンさんと、そのはるか後ろからもっと凄い眼力で睨みを利かせるカイさん。

イケメンさんも怖いんだけど……


───カイさん、怖っ!! 怖いよーっ!!


まるで私が睨まれている様な錯覚を起こす。


それにしても……


「あ、あのー、何で彼らが動いたら私がどうにかなっちゃうんでしょうか?」


後ろが見えないから、前を向いたまま白石に話し掛ければ


「あ? お前がカイの女だからに決まってんだろうが」


「……………………」


──ん? 誰が誰の女だって?