声のした方へ視線を移したけれど、大勢の人に囲まれていた私には、その姿が見えなかった。
「「「「「お疲れ様ですっ!」」」」」
周りの人達が一斉に声のした方へ挨拶をする。
「葵、お前にお客だぜ?」
赤髪男が葵さんと思われる人に声を掛けた。
「あ?客?」
不機嫌そうな声で答えた葵さん。
「あぁ、女。」
「女なんて知らねぇよ」
女と聞いて益々、低くなる声が近付いてきた。
機嫌の悪い葵さんを直視できなくて、俯いていた私の視界の端に、数人の男の足が見えた。
「この女だよ」
赤髪男の声が目の前で聞こえて、この足の一人がそうなんだと認識する。
周りが葵さんの反応を待つようにシ・・ンと静まり返った。
「──あれ?もしかして、マリアちゃん?」
意外にも不機嫌さが消えた声で話し掛けられて顔をそっと上げると・・・
驚いた顔をした葵さんと目が合った。


