Wonderful DaysⅠ



ヘリから降りると、巻き上がる風で頭がボサボサ・・・

髪の毛を気にしながらヘリポートから離れる。

自分の口から零れる白い息を見ながら歩いていると、左側に昨日、迷子になった港の公園が見えた。


───私、こんなとこまで来てたんだ・・


それを見ながら結んでいた髪をほどいて手櫛で直していれば、隣を歩くアル兄さんの携帯の着信音が鳴り響く。


『♪~♪・・』


───いい加減、この着信音やめればいいのに・・・


何度、機種を変えても、ずっと同じ着信音で。

驚いた事にマーク兄さんも同じ着信音だったりする。

拘りがあるのか・・・気付いた時にはもう、二人共この着信音だった。


ポケットからスマホを取り出したアル兄さんは、ディスプレイを見て相手を確認すると顔を引き攣らせる。


───誰?


画面を見たまま中々、出ない兄さんに


「アル兄さん?」


私の声に反応した兄さんはハッとすると私を見て微笑んだ後、やっと通話ボタンを押した。


「───はい」


難しい表情で会話をしているアル兄さん。

どうやら仕事の話らしい。

邪魔にならないように、ちょっと後ろから夜景を楽しみながらついて行く。