ヘリから降りると、巻き上がる風で頭がボサボサ・・・
髪の毛を気にしながらヘリポートから離れる。
自分の口から零れる白い息を見ながら歩いていると、左側に昨日、迷子になった港の公園が見えた。
───私、こんなとこまで来てたんだ・・
それを見ながら結んでいた髪をほどいて手櫛で直していれば、隣を歩くアル兄さんの携帯の着信音が鳴り響く。
『♪~♪・・』
───いい加減、この着信音やめればいいのに・・・
何度、機種を変えても、ずっと同じ着信音で。
驚いた事にマーク兄さんも同じ着信音だったりする。
拘りがあるのか・・・気付いた時にはもう、二人共この着信音だった。
ポケットからスマホを取り出したアル兄さんは、ディスプレイを見て相手を確認すると顔を引き攣らせる。
───誰?
画面を見たまま中々、出ない兄さんに
「アル兄さん?」
私の声に反応した兄さんはハッとすると私を見て微笑んだ後、やっと通話ボタンを押した。
「───はい」
難しい表情で会話をしているアル兄さん。
どうやら仕事の話らしい。
邪魔にならないように、ちょっと後ろから夜景を楽しみながらついて行く。


