「うん。」
この瞬間、この一年間は
終わりのチャイムを告げた。
一筋の涙が頬を通ったが、
気づかれない内に拭き取り、
必死に涙を堪えて笑顔を作った。
「俺、避けてたから
ちゃんと話したことなくって、
でも、祭りん時に話して、
素直にいい子だなって思ったし、
話してて楽しかった。
歩いてるとひよこみたいで
守りたくなった。」
『うん…』
大好きな人の最後の気持ちを
きちんと受け止める。
それまでは泣かない。
「俺、たまに明奈の考えわかんなかった。
また、祭りの時の明奈の
どもった口調で余計分からなくなった。
俺、今までで一番好きだった。
だからこそ、理解したかった。
もっと笑わせてやりたかった。
けど、もう、俺には無理だよ。
明奈を理解したいって思っても
戸惑う明奈を見て嘘なんじゃないかって
疑うし、
明奈を笑わせたいって思っても
ちょっと苛々すると強い口調で
怖がらせるし、
俺らは合わないんだよきっと。」
