「あのー、颯汰くん?ちょっといい?」
彩香は私のために颯汰と話をすることにしたらしい。
私は黙ってそれを聞いていた。
もちろん、颯汰がいる方向とは別の方向を向いて。

「あのさ、自分がしたことちゃんとわかってる?」
「まぁ、うん」
「ちょっといじめすぎ。ちゃんと凛花に謝って、いじめるのもほどほどにするんだよ?」
「おう、わかった」
「てかさ、颯汰くんってさ………」

私はそこから彩香と颯汰の声が聞こえなかった。
なにはなしてるのか気になって、うしろを向きそうになったけど、すぐ元の方向を向いた。