「でもさ、時々不安になるんだよ。俺のせいで、不幸になる人が居るんじゃないかって。」
「え……」
「…たとえば部活でもさ、大会出場メンバーに選ばれるとするじゃん。でも選ばれなかった高3の先輩の悔しそうな顔を見ちゃうとさ、すげえ複雑になるんだよ。」
春瀬くんはその先輩の顔を思い出したのか、ぎゅっと眉をしかめる。
「そりゃこっちとしたって、大会には出たいし、誰にも負けるつもりはない。
先輩だって、俺から同情なんてされたくないだろうけど……」
苦しそうな表情で、春瀬くんは続ける。
「俺が居ない方が幸せな人も居るんじゃないかって、思うんだ。」
それは、自らを傷つける、とても痛々しい言葉だった。
いつも明るいあの春瀬くんが、こんな発言をするなんて。
私の目の前に居る春瀬くんは、今までに見たことが無いくらい、悲しい顔をしていた。

