「……ごめん。」
春瀬くんは私から視線を外し、そう呟く。
電車の音が遠くから近づいてくる。
段々とその音は大きくなり、私たちを轟音で包むと、やがて去って行った。
辺りには再び静寂が広がる。
「ごめん、急に勝手なことして。」
春瀬くんはもう一度私にそう謝った。
私は「うん」とも「ううん」とも言えず、ただ黙っていた。
うつむいた顔を少し持ち上げて春瀬くんを見ると、彼は今にも泣きだしそうな、何とも切ない表情をしていた。
「俺、自分に自信が無いんだ。」
私はただ、春瀬くんの言葉に聞き入る。
「陸上は本気で頑張ってるし、クラスでは楽しくやってる。高校生活、充実してると思うよ。
一日があっと言う間に過ぎてくんだ。」
--楽しいことって、すぐに終わっちゃうんだよなあ。
私は、彼がさっきそう言っていたのを思い出す。

