「……樫原さんさぁ、春瀬くんの何なの?」
やはり、そう来たか。
こんなところまで引っ張ってこられた時点で、何を言われるか大体の予測はついていた。
お決まりのセリフで、脅しが始まったわけだ。
「何って…クラスメイトなだけだよ。」
そう答えると、彼女の眉がピクリと動いた。
今にも噛みついてきそうな、鬼の形相が恐ろしい。
でも、私が何か悪いことをしたような覚えはないから。
ここで屈して、今後の自分の立場を無くすわけにはいかないから。
私は両手に握りこぶしを作ってそこに立っていた。
「嘘つくなよ。明らかに態度でかいじゃん。」
「そんな……普通にしてるだけだよ。」
「それがウザいんだっつーの。」
言い終わると同時に、右の子が声を発する。
今日の帰り、教室で私に視線を寄越してきた子だ。
黒地にラメの入った、赤いバラの柄の浴衣。
本来は可愛らしいはずのそれが、急に極道の女の衣装に見えてくる。

