オクターブ ~縮まるキョリ~



あたりを鬱蒼とした木に囲まれ、セミの大合唱が頭上からうるさく降ってくる。
暑さだけが理由ではない汗が、つーっと背中を伝う。


『ま、みんなもう高二だしさ。嫌がらせとか、そういう程度の低いことはやらないと思うよ。』


由美ちゃんの希望的な言葉が、頭の中で再生されて消える。
残念ながら、本当に残念ながら、「程度の低いこと」が、今ここで起きているようだ。


私の後ろを付いて来ていた子たちが、私の前へと回り込む。
分かりやすく3対1の状況が生まれる。


……怖い。

何を、されるんだろう。


「……樫原さんさぁ。」


私の手を引っ張っていた彼女が、低い声でねちっこく言う。