「詩帆ー、遅刻するわよー!」
「わかってるー!」
バタバタと家の階段を駆け下りながら、お母さんの言葉に応える。
「もう、ギリギリじゃないの」
「だって!お母さんが起こしてくれないんだもん!」
「何言ってんの、何回も声かけて起こしたじゃない」
「私が起きなきゃ『起こした』なんて言えないよ!」
お母さんに口答えをしつつ、私は朝食のトーストを頬張る。
そして、咀嚼が不十分なまま牛乳でそれを押し込む。
テレビに映った時計を見ると、もう遅刻ギリギリの時間だった。
「行ってきまーす!」
慌ただしく玄関を出て、携帯で時間を確かめる。
このまま走れば、なんとかあの電車には乗れそうかな。
今日、遅刻するわけにはいかない。
だって今日は一学期最後の日。
終業式の日なのだから。