オクターブ ~縮まるキョリ~



ジャージに着替えて校庭に出ると、すでに何人かの男子がボールを投げ合ってはしゃいでいた。
ああ、雨だったらドッヂボールをやらずにすんだかもしれないのに。
空は恨めしい程に青い。


「じゃー、この線がコートね!顔面はノーカンで!
教室の窓側半分チーム対、廊下側半分チームってことで!」


春瀬くんがテキパキとルールを決めて、あっという間にゲームの準備が整う。


「んじゃ、ジャンプボールで始め!!」


ピーっと笛の音が高らかに鳴る。
そして、春瀬くんの右手から、大きなボールが空に向かってまっすぐに放たれる。


というか春瀬くん、あの笛どこから持ってきたんだろう。
体育倉庫?いつの間にいってきたのかな?
それとも、もしかしたら私物なのかな。
首からぶら下げてると、動き回るときに邪魔じゃないのかな。
あ、でも今そのまま外野に入ったから別にそんな動かないのかな。

それにしても、やっぱりかっこいいな、春瀬くんは。
かっこいい人がジャージ着てスポーツしてると、尚更かっこよく見える。
チームメイトに声をかけて、ボールをキャッチして、男子の足元を目がけて投げる。
…やっぱり、かっこいい。
すべてが様になって、かっこいい。



「詩帆ちゃ、あぶな…!!」



呼び掛けに「え」と答える間もなく、顔面に激痛が走る。