オクターブ ~縮まるキョリ~



心の中がぶわっと広がり、全身に鳥肌が立つ。


選ばれた。


私の歌詞が。


「27番の人ー?どなたですかー?」


周りがどよめく中、香織の声が再び聞こえてきた。
私はまだ呆気にとられていて、名乗り出ることができない。


「誰だろうね?今日お休みの人なのかな?」


隣に座っている由美ちゃんが、そう話しかけてくる。


「……たしだ…」

「え?詩帆ちゃんどうしたの?」

「私だ……っ、私です!!」


そう言って私は勢いよく立ち上がる。
みんなが振り返り、いっせいに注目を浴びる。
視線が集まったことで、私の緊張は更に高まる。


壇上に居る香織の表情が、ぱあっと明るくなる。


「27番の歌詞を書いたのは、C組の樫原詩帆さんでしたー!!今年度の学年歌の作詞家に、みなさん、大きな拍手を!!」