冬から春へと、季節がかわり、私達もそれぞれの道へと旅立った。
別れる者もなかにはいた。
高校受験というものは別れの象徴であり、出会いの象徴である。
最近、それを経験しやだけあって、身近に感じられる。

少し、寂しいとも思ったが、別れがあるから出会いがある。
昔の出会いなんか惜しんでられっか。

これが私の座右の銘だったりする。
つまりだね、別れは惜しまないって意味。

でも、人間には別れたくない出会いもあるわけで……。


「翔太<ショウタ>-!今日、あいてる?」


泉<イズミ> 翔太<ショウタ>。

真っ黒な髪色をした、まじめそうな雰囲気をした男の子。
身長は180cmと高1にしては、高い。


「あ?あぁ…、あいてるけど…」
「アイス食べにいかない?」
「なんでだよ」
「ちょっと遠くてさー…、私一人じゃ怖いんだもん」
「お前、友達いねぇの?」
「な、失礼!」
「じゃあ、どうなの」
「まだ高1になったばっかじゃん?そこまで仲いい友達いないのよ」
「結局いないのな」
「この高校に中学の知り合いが少ないから…」
「お前が鏡乃高校受けるのがわりぃ」


少々、適当さが目立つ。
だけど、
それがまた私の目を惹く。


「だってぇ…」
「お前の成績なら、もっと上行けたろ」
「ここの学校もけっこう上の高校だよ…」
「県内一位とかいけたんじゃねーの?」
「無理!そしたらがり勉しかいなくて話合わないー!」
「がり勉馬鹿にすんな。お前のようにな無駄に才能あるやつが才能もてあましてんのとはちげぇの」


……ったく、人の気も知らないで。
そんなに私があんたと同じ高校に来たの迷惑だった?

しょぼん

と、あからさまに表情にだしていると翔太は私の頭をぽんぽんと軽くたたいた。

昔から私を元気付けるときとかにする行為だ。
ようは背が自分より小さいから、お子ちゃまとして見られてる。


「なに」
「あ、つい…」
「もぉ!子供扱いすんな!」
「精神子供だろ?」
「ちっがぁーう!」


いつまでも子供扱いをやめない翔太。
翔太のまえでは、あえて嫌なふりをするけど……


「ハハッ、ごめんごめん」


ぜんぜん、嫌じゃないんだよね。
翔太の視線の先に私がいるって、思えるから。