家に帰り、すぐに親に相談した。



「ママ、相談があるんだけど…。」



「なにかしら?
…パパもいた方がいい話?」



「……うん。」



「そう、だったら帰ってきてから話しましょうか。
もうすぐ帰ってくると思うしね。

とりあえず着替えてきなさい。」



パパが帰ってくるまで部屋でパンフレットを読んでいた。
養成学校は地元を離れた遠いところにある。その上寮生活だ。





…生半可な覚悟では潰されてしまう。
やるのだったら覚悟を決めないといけない。






考え込んでいると、パパが帰ってきた。
リビングに行くと既にパパとママは二人並んで椅子に座っていた。

私は向かい合うように座り、パンフレットを見せた。





「今日学校にここの学校の校長が来たの。
…私の演技を見て、スカウトに来てくれたんだ。」



「…それで、妃奈はどうしたいんだ?」



「私は…行きたいと思ってる。
純粋に演技が好きっていうのもあるけど、ライトに照らされてみんなで作品を作るのが好きなの。

…生半可な気持ちじゃないよ。
やるからには本気で取り組むつもり。」



少し沈黙が続いてからママが話しだした。



「…ママはね、妃奈がやりたいなら応援しよう思ってる。
それに妃奈の目を見てたら本気なんだって伝わってきた。

中途半端な気持ちなら反対してたけど、ちゃんと考えて判断して…妃奈が出した結論なんでしょ?
だったら反対なんてしないわ。


……パパはどう?」




「…正直に言えば反対だ。
遠くの学校に、しかも寮生活になる。
それに将来自分で稼いでいけるかもあやふやな職につこうとしている。
だから賛成はできない。」



パパから現実的な言葉が返ってきた。
確かに安定してる職ではない。
それに売れるかどうか、それによっても変わってくる。






それでも…それでも私は挑戦したい。