武久君と別れたことはすぐに広まった。
予想していたとおり批判の声がたくさんある。
…当たり前だよね。



朝、教室に行くと一斉に囲まれた。



「どういうこと!?
影橋さん、米澤君のこと弄んでたってこと!?」



「やっぱり元彼が忘れられなかった、とか?
中途半端に付き合ってたなんて米澤かわいそー。」



…わかってる。
こんな曖昧な形で付き合ったなんて武久君に申し訳ないって思ってる。


だからこうやって言われても仕方がない。



「……私、」



「付き合ってても友達とかわりなかったから別れたんだよ。」




私、本当に最低なことした。
そう言おうとした時に武久君がタイミングよく登校してきた。




「それに、お試し感覚で付き合おうぜって言ったの俺のほうだし。

中途半端な付き合いだったってわけじゃねーよ。
俺らなりに真面目に付き合ってたし。」



「ま、まぁ二人が合意の上での付き合いや別れだったら別に文句とかねぇよ。」



「そうそう。
ただ米澤君が弄ばれてたのかなって思っただけだし。」



「んなわけねーだろ。
そもそも、妃奈はそんな奴じゃねぇって知ってるだろ?」



「噂でそう聞いたから、つい…。」



「ったく…ほら、もう解決ってことで!」



私の周りにいたクラスメイトはそれぞれ散らばっていく。
…武久君がいて助かった。



「…ありがと。」



「いやいや、俺の事でもあったし。
…まぁ周りに何言われても気にすんなよ。

俺らが納得しとけばそれでいいんだしさ。」



「…本当にありがと。」



周りのクラスからこそこそと言われながらも学校生活を送る。
自業自得ではあるが、労力を使う…。