仮恋人になってから早2週間。
最後の舞台発表も一週間後に迫っている状態だ。
武久君とはこれから、そう思ってたはずなのに……遊佐への想いが日に日に膨らんでいくような気がする。
武久君の全ての発言や行動を遊佐と無意識に比べてしまう。
やっぱり駄目なのかもしれない。
いや、そもそも好きでもないのに仮ではあるが付き合う事を決めたのが悪いんだ。
中途半端な自分が…一番駄目なんだ。
放課後の帰り道、私は別れた方がいいと思い話をふった。
「…武久君、話があるの。」
「話?
……そこのベンチ座ろうぜ。」
少し歩いた所にある自販機の近くのベンチを武久君は指差した。
立ち話で終わらせていいことではないと思っていたので、とりあえずベンチに座った。
「で、話って?」
「……いきなりで本当に申し訳ないんだけど、私やっぱり武久君のこと恋愛の好きにはなれない。
期間が来る前にこんな事言ってあれだけど……」
「わかってた。」
話に被せるように武久君は口を開いた。
「…薄々そんな感じはしてた。
時間さえくれれば、少しなら俺の事見てくれるかなって思ってた。
ごめんな、無理に付き合わせて…。
ありがとう。
すごい楽しかったよ。」
「っ…本当にごめんなさい……」
「謝んなよ。
むしろ条件つけて付き合わせてたのは俺の方だしさ!
…来週の舞台、頑張ろうな。」
「…最後まで優しいんだね。
楽しかったよ、すごく。
ありがとう…。
部活頑張ろうね。」
武久君は立ち上がり、駅へ向かって歩き出した。
その後ろ姿を見てもう一度心の中で謝った。
中途半端なわたしでごめんなさい。
傷つけてごめんなさい。


