翌日、駅に着くと既に武久君がいた。



「おはよう。
遅かったかな…?」



「おはよう。
いや、ただ俺が緊張して早く来すぎただけだから!

…んじゃ行くか。」



そう言って武久君はさっと手を出した。
何も言わずにその手を取り、学校へ向かった。


ごく自然に喋りながら歩いていると、周りがヒソヒソと話し出す。



「…何言われても気にすんなよ。
俺はお前の…妃奈の味方だから。」



「…ありがとう。」



初めて妃奈と呼ばれ、驚いたけど気にしなかった。
武久君の頼もしさに少し心が軽くなった。


学校へ着いても手を繋いだまま教室へ向かい、案の定教室に入ったと同時にクラスメイトに囲まれた。



「え、ちょっと、2人って付き合ってるの!?」



「あぁ。
俺ら昨日から付き合うことになったんだ。」



「昨日から!?」



「そうそう。
妃奈がフリーになったからチャンスだと思ってさ。
とりあえず付き合うことになったんだよ。」



そうさらっと言う武久君。
…なんか清々しく感じる。



武久君の付き合ってます、発言にクラス全員が口々におめでとうと言ってくれた。




誰一人、別れてすぐ他の人と付き合ってる私を批判するような発言をしなかった。