嫌わられるのが怖くて自分の想いを隠した。
遊佐に嘘をついた。




…全てそれが原因なんだ。




「…じゃぁ俺と付き合わね?」



「………え?」




いきなりすぎて理解するのに時間がかかった。
そして武久君の今の言葉は小声ではなく、普通に言ったので周りの部員にも聞こえている。

その証拠にみんなの話し声や動きが止まった。



「ちょ、え、どうしたのいきなり?」



「俺前から好きだったから。
フリーなら問題ないだろ?
だから付き合お。」



「でも私……。」



「わかってる。
俺の事意識してくれたら今はそれでいいや。
んじゃこの話は保留ってことで!

今日の舞台頑張ろうな!!」



爽やかに笑いながらそう言う武久君……優しいな。
だからこそ遊佐への想いがある状態で付き合うことはできない。

…中途半端程辛いものはないからね。



「…ありがと。

今日も頑張ろうね!!」




それから気まずい雰囲気になる事もなく、舞台発表を行うことができた。







二日目は舞台に集中した。
午前午後に一回ずつの発表があり、それ以外は部員で話をしたり、ジャンケンで負けた人をパシリにつかったりしていた。


友人とまわることも、もちろん遊佐に会うこともなく高校最後の文化祭は終わった。