取引恋愛




学校へ着くと人がいつもより少ない。
…まぁ早めに来たし、当たり前だよね。



とりあえず部室でぼーっとみんなを待っていた。





時間が経つにつれて部員も集まってきた。
そして今日の発表の事でみんな落ち着きが少しない。



「おはよーございますー。
米澤入りまーす。」



「武久くん、おはよう。」



「おぉ、はよー。
……お前、何か目腫れてね?」



「え、あ…あぁ!
昨日の夜ね、一人で涙流しながらセリフ言う練習してたらこうなっちゃったの!!」



「嘘だな。
舞台前にそんなことしないだろ。

……あいつか?
泣くくらいってことは…別れた、とか…?」



私に気をつかってか、小声で話しかけてくれた。
…部室だし、大きな声出せるような話でもないからありがたい。




「…武久君、今まで黙っててごめん。
私と遊佐はね、元々付き合ってなかったんだ。」



「はぁ!?」



「私は遊佐の女よけで、
遊佐は私の男よけって事で仮で付き合おうって…

それでもういいからこの関係やめようって」



「…なんだよそれ。
勝手すぎじゃねーの?」



「元々そういう契約だったから…仕方ないよ。
遊佐のこと好きなのにこんな関係になった私が悪いんだ。

初めからちゃんと伝えとけば…」




嘘なんかつかずに気持ちを伝えとくべきだったんだ。