取引恋愛





明日の準備が終わり、約束通り門の所で遊佐を待っている。
5分くらいすると遊佐の姿が見えた。
私のことに気づくと足を早めて来てくれた。



「悪い、待ったか?」



「そんなに待ってないから大丈夫だよ。
…帰ろっか。」



「あぁ。
…なぁ、今日時間あるか?」



「今から?」



「今から。
何か用事ある?」



「特に無いけど…どうかした?」



「行きてぇとこあるんだけど…。」



「私でよければついて行くよ。
家帰っても特にすることないし!
どこ行きたいの?」



「どこかは言えねぇけどついてきてくれ。」



遊佐に手を握られ、引っ張られるようにして学校から出た。
結局どこに連れていかれるかも分からず、ただひたすら遊佐について行った。

しばらく歩いたあと、遊佐が急に止まった。





「ここ。」



「え……こ、ここ…?」






着いた場所は学校の近くにある公園だった。
遊んでいる子供はいなくて静かな公園だ。


…何しにきたんだろう。
不思議に思いながらベンチに並んで座った。


沈黙が続き、ぼーっとしていると遊佐が口を開いた。



「あのさ…話があるんだ。」



「…何?」



遊佐の口から出た言葉は全く予想もしていないものだった。









「この関係もう無しにしないか?」









何を言われたのか、すぐには理解できなかった。



「……え?
な、なんで…?
私何か悪いことした…?」



「お前は悪くない。
…俺の問題なんだ。
仮ではあったけど、俺と別れてほしい。」



…そっか。
女よけとして私をそばに置いてたけど、今は必要ないってことか。

この前腕くんでた子が次の…しかも正式な彼女とか?
それとも女遊びたいしたいからとか?



…要は私は用済みってことだね。





「嫌だなんて言わないよ。
遊佐にとって利用する必要がないってことでしょ?
元々仮恋人だったし、気にしないよ。


…今までありがとう。
それじゃぁ帰るね。」



それから何も聞かずに走ってその場から逃げた。