取引恋愛




「和佳奈ちゃんが、和佳奈ちゃんが、って言うたびに私は苦しかった。
胸がしめつけられる様な感覚になって…。

この気持ちを言ったら幼なじみに戻れない、
唯一彼女以外のポジションで近くにいれるのに、その場所を無くしてしまうかもしれないって……そんなことばっかり考えてた。

変な誤解をしてもらいたくないって思ってる。
でもそれと同時にこんな私が近くにいたらダメだとも思ってる。


…私は真が好き。
私にこんな気持ちがある以上真のそばにはいられない。」



目を見開いている真。
少ししてから表情に焦りが出ていた。



「ごめん…俺、全く気づかなかった。」



「返事はいらないから。
…もうわかってるから。

言えてスッキリした!
…私の気持ちが落ち着いたら、もう一回幼なじみとしてそばにいさせてね。
……それじゃぁね。」





実華はその場から逃げるように立ち去った。
言ってしまった、と思う反面言えてよかったとも思う。
これで気持ちの整理ができる。



帰宅して自分の部屋に入り、真の想いを流すかのように涙を流した。



実華が立ち去った後、しばらくその場を動けなかった真。

自分の好きな人は和佳奈ちゃんのはずなのに、さっき実華に告白された時に和佳奈ちゃんの存在が頭から消えていた。
むしろ実華の好き、と言う言葉に胸が大きく高鳴った。




「くそっ…わかんねぇよ……。」




真はその場でしゃがみこみ、頭を抱えた。