次の日から生活が一気に変わった。
一人での登下校、
真との会話の減少、
…そして真と和佳奈ちゃんという女の子が一緒にいる事が増えた。
それを見る度押し殺したはずの想いが込み上げてくる。
どうしてもっと早く、この思いに気づかなかったのだろうか。
…どうして今まで隣にいたのは私なのに。
そんな二人を見ていられなくて、実華は無意識のうちに真を避けていた。
そんな実華の変化を真は見逃さなかった。
幼い頃から一緒にいる実華の変化に気づかないわけがなかった。
「真君、どうしたの?」
「あ…いや、なんでもねぇよ。」
「そっか。
あ、それで次の休みに遊びに行くでしょ?
どの行く?」
「あー…俺ゲーセン行きてぇわ。
やりたいゲームあるんだよね。」
「え…ゲーセン?
もちろんいいけど、それだけ?」
「…ほか行きたいところある?」
「えっと…映画とかは?
その後にゲーセン寄ってってのはどうかな?
そもそもゲーセンだけに行くなんて考えられないしね。」
「…おっけ。
それでいくか。」
そう返事しながら真は実華と遊んでいた時のことを思い出した。
真が行きたいと言ったところには嫌な顔一つせずついてきてくれた実華。
むしろ一緒に楽しんでくれていた。
…当たり前のようだったけど、当たり前じゃなかったのか。
そんなことを考えながら避けられつつある実華の後ろ姿をぼーっと眺めていた。
二人の溝は埋まることなく、むしろ日々深くなっていっている。
会話をしない日も増えてきた。
そんな日々に真が耐えきれなくなった。
実華はいつも通り帰っていた。
すると家の玄関のところで真が立っていた。
「実華…話があるんだ。」
「なに?
あ、よかったら家入る?
買い物行ってなかったらお母さんもいるしさ。」
「二人で話したい。」
「…わかった。
それじゃぁ公園行こ。」
近くの公園のベンチに少し離れて座った。
「…お前さ、俺の事避けてるだろ?」
「まぁ多少はね。
そっちの方が誤解されなくて済むでしょ?」
「俺は…実華と他人になりたくねぇ。
実華とは小せぇ時から一緒にいたから…なんか近くにいてもらわないと落ち着かねぇんだよ。
それに…気遣う事無くて一緒にいてて楽だしさ。」
「…それでも好きな子いるんでしょ?
近くにいると変な誤解を招くことになるから。」
他人になりたくない、
近くにいてもらわないと落ち着かない、
その言葉は私にとっては泣きたいくらい嬉しい言葉だ。
…でもそれと同時に胸の痛みも増していく。
「和佳奈ちゃんには俺からもちゃんと説明する!
俺とお前は幼なじみだからって。
だから俺の事避けんなよ…。」
実華は必死に自分と戦った。
苦しい苦しい苦しい。
結局私は幼なじみ以上にはなれない。
好きな人のそばで、好きな人が他の人と幸せそうにしてる姿を見ることしかできない。
この想いをいっそぶちまけたら楽になるのではないか、
でもそうすれば幼なじみになんて戻れはしない…
悩んでいたが、真の言葉で抑えきれなくなった。
「実華…俺、本当にお前が必要なんだよ。
大切な幼なじみなんだよ。」
「…私は違う。」
「何がだ?」
「っ…私は!!
大切な幼なじみとしては見れない!!
真が気になる子が出来たって言ったあの日から、私の気持ちに少しずつ気づいた。
私が一番近くにいた筈なのに、
私が一番真のことを知ってる筈なのに、
どうして…どうして私じゃないのかって!!!!」
自然と涙が出てきたが、ぬぐうこともなく話を続けた。


