答えなんて出るわけもなく、いつの間にか朝がきた。
ため息をつき、いつもどおり準備をして家を出た。


校門ではいつもどおり遊佐が待っていてくれていた。



「はよ。」



「おはよう。」



いつもと変わらない朝…
だけど私の心情はいつもどおりではない。

そんなこと言えず、いつもどおりを装っていた。



遊佐と女生徒との一件を見てから妙に遊佐の周辺を気にするようになった。
今まで気づいてなかっただけだと思うけど、遊佐は常に女の子が隣にいる。

会話がうっすらと聞こえてきたのを盗み聞きしていると、″遊佐君好きだよー″という言葉が聞こえてきた。




…ずるい
私はそんな言葉言えないのに…。
簡単に言ってそばにいるなんてずるすぎる…。





「私だって…気持ち伝えたいよ。
ずっと、ずっと好きだったんだから…っ!!」




好きなのに伝えられないこの思い…


……あ、これだ。



「この気持ち…役と重ねられるかも。」



この苦しい気持ちから逃げるように、演技のことに没頭しようとした。