分かってるつもりだった。
だって仮の関係なんだもん。
…嘘の関係なんだから、あたりまえなんだよ。
勘違いしていた私は本当に大馬鹿者だ。
「…大丈夫?」
何も喋らなくなった私の顔をのぞき込むようにして言ってきた美紀。
美紀の顔を見て現実に戻った。
「大丈夫だよ!
ちょっと…いや、かなりびっくりしたけど。
遊佐は人気者だもん、仕方ないよ!!
それより!!
早く行かないと遅刻する!!」
何か言いたそうにしている美紀を無理矢理移動教室まで連れていった。
もちろんそれからの授業は上の空。
さっきまでとは違った意味で集中できない…。
あーあ…そろそろちゃんと美紀にも言わないとね。
今まで黙っていた私と遊佐との関係をきちんと話す決意をした。


