文化祭に近づくにつれてみんな浮きだっている。
…まぁ私は緊張の方が大きいけど。
文化祭まで後1週間となった今日、劇を最初から最後まで通して顧問や劇に出ない部員達に見てもらうことになっている。
全く落ち着かない。
教室移動のため教科書を出して教室を出た。
「美紀…どうしよう。
授業に集中できない、ってか落ち着かないよ。」
「あー今日だっけ、恒例のチェック日。
まぁ頑張れ。」
「冷たいよ!!
もっと暖かい言葉を頂戴!!」
「私が何言っても緊張するし、落ち着かないでしょ?
毎回そうじゃない。
…でもさ、妃奈頑張ってきたんだし自分信じてやるしかないよ。
ってか本番じゃないしそんなに気負うことないって!!」
「そう…だよね。
ありがとう!」
美紀と話しながら廊下を歩いていて、ふと視線を違うところへ向けるとまさかの現場を目撃した。
「でさー…って妃奈?
どうかしたの?」
「…遊佐がいた。」
「え、どこ?
声かければいいじゃん……え?」
美紀もその現場を見て唖然としていた。
なんていったって遊佐と綺麗な女生徒が腕を組んで歩いていたからだ。
もしかしたら女生徒が一方的に腕を組んでいるだけかもしれない。
それでも拒否しないということは嫌ではないということだろう。
…なんだ
キャーキャー煩くてどうにかしたいって言うのは静かに本命と一緒にいたいってことだったのかな。
…私、すごく馬鹿だ。
一人で喜んで、一人で楽しんで、一人で…


