その日の放課後、遊佐がよく来る公園に行った。
遊佐に見つからないように気をつけながら物陰に隠れている。

すると、しばらくして遊佐がビニール袋を持って現れた。



「おい、にゃんこ。
飯持ってきてやったぞ。」



草や木が生い茂っている所に向かって話しかけている。
その数秒後、一匹の猫がでてきた。
遊佐の足に擦り寄るようにくっついている。



「今日もいい子にしてたか?


…そうか、ならご褒美だ。」



そう言ってビニール袋から猫缶を取り出した。
猫の前に置いて頭や喉元を優しく撫でている。



…私は彼のこの姿を見て意識し始めたんだ。
学校では女の子にキャーキャー言われ、派手目なキャラの彼が
猫に優しく微笑んで
猫を優しく撫でていた。



それからほぼ毎日、猫に餌をあげている姿を見る。
噂や見た目での印象しか知らなかったが、意外な一面を見てもっと遊佐の事が知りたいと思うようになった。