「姉上、怪我をしていらっしゃるじゃないですか!すぐに手当てを…」


少年はそう言って彼の家に向かおうとします。
ーしかし、その足は途中で止まります。



「…タートス。」


少年は、初めて聞いた声色に思わず振り返ります。


それは悲しみと、慈しみと、覚悟を全て込めたような声でした。


少年とその人物ーエリスの眼が合い、一瞬時間が止まります。


エリスは彼の眼から視線を外さず、次の言葉を紡ぎます。



「…お別れを、言いに来たわ。」