「おい、何ぐっすり寝てんだよ!」
そう、起きた時にはさっきの雪はどこにも見当たらなかった。
「ソファーで休んでいいよって言ったじゃん」
「お前よく人の家で男と2人っきりなのに寝れるな」
笑顔だった雪は、もうすっかり冷たい表情になっていた。
「早く食器洗いしてくれん?」
さっきは“お願い”とまで言ったのに。
「はい?」
さっきのが夢だったのか?
いや、今まだ夢見てるのか?
頬っぺたをつねる。
「っ」
痛い。夢じゃない。現実に戻ったんだ。
「そんなバカな事してないで、早く食器洗いしろ。なんも働いてないから、少しでも働けよ。」
この雪嫌いだ。大っ嫌いだ。
いや、待てよ。あたし雪より年上なのに…なんでこんな扱いされなきゃいけないのよ!
俯いてこんな事考えてたら、
顔を上げたときにはもう雪はいなかった。
睨んでやろうと思ったのに
ソファーから立ち上がってキッチンに向かう。

