「乗って」
車のドアを開けてあたしを車に乗せる。
「どこかに行くの?」
そう聞いてもなんの返答もない。
何も理解できずに車が出発する。
どこに行くのかもわからない。
爽翔が何を考えてるのかもわからない。
車の窓から見える景色を
楽しみながらどこかへ向かう。
時々爽翔の顔をみたりした。
いろんなことを考えていたら
目的地に着いたのか車が止まった。
目的地は海だったみたい。
外の空気を吸いたくなって
車を出ようとしたら
いきなりあたしの手を握ってきた。
強く。
「どうしたの?」
心配になって顔を覗き込む。
「メイ好きな人いる?」
「え?」
突然そう言われて戸惑いを隠せない。
「ねーいるの?」
あたしの顔を真っ直ぐと見てまた聞く。
「いないよ。前はいたけどね。もういない。」
前はいた。
星のように、誰よりも輝いてた王子様。
瑆くんがすきでした。
「あ、海、海で遊ぼうよ!」
瑆くんのことを好きになって
あたしはよかったと思ってる。
瑆くんはきっとこの先も
あたしの王子様。
でも、前進まないと
何も始まらないから…