『またお前か!!....あ...っ』
つい、口走ってしまった。
元々男は好きじゃないし
こんなひ弱は尚更だ。
さっさと用を済ませていただきたい。
「え、あ、すみません.....」
『大丈夫です寝言なんで』
「でも目開いて『あれでも寝れます』」
「へー!金魚みたいで『はいはい』」
あ〜...
救いようないわ自分...
初対面の人に『はいはい』って...
「すみません...」
『こちらこそすみません本当に』
「あ、その、これ...」
男が1本のペットボトルを
差し出してきた。
「哀斛のです、」
「会場出たの、僕のせいですよね、」
「だから、お詫びがしたくて...」
『っへ⁈でえっ⁈⁈』
我ながら基地外なリアクション...
男が神々しく見えてきたわ...
あたしは深々とお辞儀をして受け取った
瞬速でキャップを開けて飲み口を確認する。
この飲み口についた真っ黒な口紅は
紛れもなく哀斛のものだった。
それにしてもなんでこの男が
ペットボトル持ってんだろう
さっき他のバンギャさんが
キャッチしてたと思うんだけどな。