身体が冷える。
この背に背負われながら死んでしまうのだろうか。
「その前に」
やるべきことがある。
「頼みがある。」
「泣いて懇願する気になったか。」
「泣けるような感情は持っていない。」
「……話だけは聞いてやろう。その先は俺が選ぶ。」
素直ではない口振りで答える。
「国王へ今回のことを報告せねばならない。故に、この格好だと不敬にあたる。着物を調達して欲しい。」
「傭兵は便利屋とは違う。」
「報告をせねば、八倉に不利益だろう。」
「知るものか。」
「雅之」
景之は名前を呼んだ。
雅之と呼ばれた男は面食らったような顔で景之を横目で見る。
(今まで、道具のように見てきておいて……今更、名前を呼ぶか。)
頼みごとをする為だろう。
そこに親としての情はないのだ。
苦虫を噛み潰すような顔になり、前を向いた。
「俺は、八倉家の当主だ。だから、この家を守らねばならない。」
「知っている。」
だからこそ、そのためなら何だってするのだろう。
非人道的なことであっても。
「だから、俺は貴様が嫌いだ。」
雅之は景之を背負ったまま歩いた。
この背に背負われながら死んでしまうのだろうか。
「その前に」
やるべきことがある。
「頼みがある。」
「泣いて懇願する気になったか。」
「泣けるような感情は持っていない。」
「……話だけは聞いてやろう。その先は俺が選ぶ。」
素直ではない口振りで答える。
「国王へ今回のことを報告せねばならない。故に、この格好だと不敬にあたる。着物を調達して欲しい。」
「傭兵は便利屋とは違う。」
「報告をせねば、八倉に不利益だろう。」
「知るものか。」
「雅之」
景之は名前を呼んだ。
雅之と呼ばれた男は面食らったような顔で景之を横目で見る。
(今まで、道具のように見てきておいて……今更、名前を呼ぶか。)
頼みごとをする為だろう。
そこに親としての情はないのだ。
苦虫を噛み潰すような顔になり、前を向いた。
「俺は、八倉家の当主だ。だから、この家を守らねばならない。」
「知っている。」
だからこそ、そのためなら何だってするのだろう。
非人道的なことであっても。
「だから、俺は貴様が嫌いだ。」
雅之は景之を背負ったまま歩いた。

