散華の麗人

そして、日が昇り始めた頃。
「大村隊が到着しました。」
家臣がそう報告した。
「解った。直ぐに通せ。」
そう言って書類を片付けた。
「わしが書類を片付ける間、飯でも振舞ってやれ。」
「は!」
家臣は短く返事をして去った。
「風麗は与吉郎を呼べ。そのついでに、この書類も渡してくれ。」
「はい。」
一正から書類を受け取り、風麗は部屋を出た。

応接間に大村隊の総大将とその家来2名、風麗、千代が集まる。
千代が上座に座り、風麗が1段下がったすぐ傍にいる。
他は一様に下座に座っている。
そこへ、襖が開き、与吉郎が来る。
「遅参、申し訳ござらぬ。」
「いいえ。陛下もまだですから。」
「……かたじけない。」
深々と頭を下げ、皆と同じ下座に座った。
千代は辺りを見回す。
「後は清零国軍師と、陛下ですね。」
千代に風麗が頷く。
「与吉郎殿。」
大村の部下が与吉郎に向き合う。
「食糧の件はどうだ?」
「手はず通り、全て手配済みであります。」
与吉郎が畏まった。
すると、満足そうに部下が笑む