「それはそれは、我が道を行く片でしたよ……」
リアンは遠い目をしている。
「その後、ジジィに怒られた。」
「当たり前よ。」
「御祖母様を見習ってや。」
「あやつの優しさに甘んじるでない。」
不満そうな一正に陸羽は呆れる。
――あの後
『バカモノ!!』
『怒ると血管切れるで~♪』
『ふざけるでない!!』
八千代に陸羽が怒鳴る。
『まぁまぁ、佐之助様。』
そこへ、陸羽の妻が来る。
佐之助とは陸羽の幼名だ。
『口を挟むでない。』
『ここは、この幸免じてお許し下さいませ。』
陸羽の妻、幸は陸羽に頭を下げた。
『甘やかすわけにはゆかぬ!』
『しかし、こうして帰って来たわけですから。』
『……今回限り、許すとしよう。』
幸に陸羽は根負けした。
「御祖母様はわしの味方やからな!!」
「バカモノめ。ちとは反省せよ。」
陸羽は呆れる。
「そんで、戦の話になるんやけど……」
一正は陸羽に構わずそう言うと、真剣な表情でリアンを真っ直ぐ見た。
「今日はもう遅いし、明日にでも話そうか!」
「分かりました。」
先程とは打って変わって笑う一正にリアンは頷く。
「与吉郎。風麗。」
「はっ。」
「飯と風呂と床の支度をしろ。」
「御意。」
一正に2人は返事をした。
「あと、酒も!!」
「陛下!?宴会ではないのですから!!」
「固いこと言わんときや。」
「はぁ……」
楽しそうに笑う一正にリアンは頷くしかなかった。
「戯けが。バカモノには付き合っておれぬわ。」
陸羽はそう言うと、立ち上がった。
「ジジィは年だから飲めんのか?」
「戯れるでない。」
「なら、飲もうや。」
「断る。」
「そうか。いくら強がれど、年は年やな。」
一正がそう言うと、陸羽は怒ったように座った。
「見くびるでない。」
「ジジィも飲むのか。楽しいな!!」
「バカモノめ。」
陸羽は呆れた。

