――翌日
まだ、空が仄暗い早朝だ。
一正は早くから着替えを済ませて、書類を読んでいた。
「……陛下。」
風麗が声をかける。
しかし、応答はない。
「あの、陛下。」
もう1度呼ぶがやはり応答がない。
(余程、集中しているのか。)
風麗は溜め息を吐いた。
一正はそのままの表情で風麗を見た。
「あ、あぁ!」
気がついたように、いつもの明るい表情になった。
「済まん。何の用かいな?」
へらっと笑ってみせる。
「一睡もしていないでしょう。仮眠くらいとってください。」
「大丈夫やって!……大体、風麗が寝ろ寝ろ言うから、さっき寝たやろ。」
「…………それ、随分前でしょう。それに、あれは寝たと言いません。10分も寝てないでしょう。」
「寝たぞ?」
子供のように口を尖らせて一正は言う一正は山になってある本の中から迷わず上から5番目の本を手に取り、書類を照らし合わせる。
そして、何かを書いて、次の本を取って、再び照らし合わせ、メモを取る。
暫く、その作業を続けて、調べ終わったのか、そのメモした紙の文章をまとめて書類を書いた。
(……こう見ると、国王らしいんだよな。)
風麗は呼ぶのを諦めてそれを見た。
「陛下。」
無駄だと思いながらも呼ぶ。明らかにおかしいと風麗は思った。
(まるで、何かに焦ってるみたいだ……時間がない、ような。)
事実、確かに時間はない。
成田国に勝つには一刻も早く進軍しなければならない。
けれど、目の前の国王は、それだけじゃない何かに焦っているみたいな気がしてならない。
「いいから、寝てくださ……」
風麗が言い終わる前に一正の身体が傾いた。
「陛下!」
慌てて受け止めようとするが、その前に一正が体制を立て直して笑った。
「……大丈夫や。」
そう言うと、次の書類に目を向ける。
まだ、空が仄暗い早朝だ。
一正は早くから着替えを済ませて、書類を読んでいた。
「……陛下。」
風麗が声をかける。
しかし、応答はない。
「あの、陛下。」
もう1度呼ぶがやはり応答がない。
(余程、集中しているのか。)
風麗は溜め息を吐いた。
一正はそのままの表情で風麗を見た。
「あ、あぁ!」
気がついたように、いつもの明るい表情になった。
「済まん。何の用かいな?」
へらっと笑ってみせる。
「一睡もしていないでしょう。仮眠くらいとってください。」
「大丈夫やって!……大体、風麗が寝ろ寝ろ言うから、さっき寝たやろ。」
「…………それ、随分前でしょう。それに、あれは寝たと言いません。10分も寝てないでしょう。」
「寝たぞ?」
子供のように口を尖らせて一正は言う一正は山になってある本の中から迷わず上から5番目の本を手に取り、書類を照らし合わせる。
そして、何かを書いて、次の本を取って、再び照らし合わせ、メモを取る。
暫く、その作業を続けて、調べ終わったのか、そのメモした紙の文章をまとめて書類を書いた。
(……こう見ると、国王らしいんだよな。)
風麗は呼ぶのを諦めてそれを見た。
「陛下。」
無駄だと思いながらも呼ぶ。明らかにおかしいと風麗は思った。
(まるで、何かに焦ってるみたいだ……時間がない、ような。)
事実、確かに時間はない。
成田国に勝つには一刻も早く進軍しなければならない。
けれど、目の前の国王は、それだけじゃない何かに焦っているみたいな気がしてならない。
「いいから、寝てくださ……」
風麗が言い終わる前に一正の身体が傾いた。
「陛下!」
慌てて受け止めようとするが、その前に一正が体制を立て直して笑った。
「……大丈夫や。」
そう言うと、次の書類に目を向ける。

