散華の麗人

静かに回想から現に戻る。
「師匠は、私が陛下に仕える少し前に身体を悪くして、今は山奥に住んでいるようです。そして、私に迷惑をかけまいと破門にしたのです。それ以来、音信不通だったのですが」
そう言うと、風麗は目を伏せながら、手紙を見た。
(一体、誰が?)
直接渡さないことも不思議だった。
「見たらええやん。」
「……」
一正に風麗は唇を噛んだ。
「もし……」
風麗は震える自分の肩を押さえ付けながら言葉を発した。
「もし、悪い報せなら……」
「風麗……」
一正は風麗に近づいた。
(やっぱり、まだまだ子供やな。)
16歳らしい感情に一正は静かに言う。
「なら、尚更、今読め。今なら、わしがおる。」
そして風麗の頭を撫でた。
風麗は頭を上げる。
「な?」
そこには、笑う一正がいた。
「はい。」
風麗は小さく頷くと、封を切った。
そして、手紙を読む。