兵の１人がリアンの掴みかかる。
「てめぇが１番信用ならねぇ！！」
「そうですか。」
意に介することなく攻撃を受け流し、地面へ叩きつける。
「組手ならばいつでもお相手しましょう。」
にっこりと笑うとリアンは兵を見た。
「例え生まれは違えども、志は同じかと。」
胡散臭くわらう。
「そのような態度ではまとまるものもまとまりませんね。」
「てめぇ！」
「身分を弁えよ。」
リアンは厳しく言う。
そして、静かに呼んだ。
「新居殿。」
「な！何故、名前を……」
「此処の兵の名は把握していますよ。」
当然のように言った。
「“短気であるが勇敢な若者。家に妻と子、そして病床の母が居る。清零国に対して敵意がある。”そう書かれてました。真っ先に掴みかかるのは貴方であろうと予測してましたよ。」
「……っち。」
不貞腐れたように頬を膨らませる。
「確かに、陛下のような労りや善意はない。だが、駒の情報は全て頭に入っている。」
駒だと言われたことへの敵意を感じたがリアンは意に介さず笑う。
「何も諍いに来たわけではない。稽古を続けてください。」
その笑みを睨み、新居は稽古へ戻る。
それを見た周囲はリアンが来る前のように稽古を続けた。