散華の麗人

まっすぐな意見に景之は視線を向ける。
「貴様は竜華国の者だろう。妖の血を引く者が何を言う。」
「だからこそ言うのです。」
風麗ははっきりと言う。
「私は私自身に誇りを持っています。自身を形成する全てに。」
「それで?」
「両親とも半妖の一族で、この身に妖の血が流れていることは確か。しかし、人間でもある。人間の血にも誇りを持っている。」
「それだけの価値が人間にあるか?」
景之は淡々と言うと立ち上がる。
「人間とは、私利私欲の為に綺麗事を並べ簡単に他人を切り捨て、裏切る生き物だ。愚鈍で醜悪な種族だ。」
そして風麗と一正の前に立つ。
「細川国王よ。貴様はどう思う?」
無感動な目を今度は一正の方に向けた。
「あんたも風麗と同じやろう。」
「だから人間を認めろ、と。」
「あぁ。」
「……やはり。」
景之は解り合えないというような仕草で座っていた場所に戻った。