散華の麗人

そして、銃を懐にしまい、座った。
「脅して悪かったな。」
「そういうことをするのが、勝った者の驕りだろう。」
「せやな。」
辻丸に一正は笑う。
「成田城は八倉家へ引き渡す。あの家は細川の親戚にあたり、あらゆる面で世話になっておるからな。」
「松内や柚木、沢川も細川と近しいと聞き及んでおるが。それに、敦賀家はいつまで家臣扱いにするつもりだ?」
「ほう。そんなことまでよく調べたな。」
(雅之の情報やろな。)
嘗て、成田国側だった傭兵。
雅之が成田国王へさまざまな情報を流していたことが伺える。