散華の麗人

翌朝、早朝に一正は来客を迎えた。
相手は元成田国王だ。
本来ならば清零国王と謁見する予定だったが、陸羽の都合で時間が先送りになった。
その代わりに、後に招く予定だった成田国王を此方へ呼んだのだ。
「ジジィの足の調子が悪いらしいと与吉郎が言ってた。あんだけ元気でも、年は年やな。」
「陛下が元気すぎです。」
軽口を叩く一正を風麗は冷ややかに見た。
(でも、これもそう見せかけているだけだろう。)
そう思考しながら一正を案じる。
一正の横顔は日に日に痩せていっているような気がしてならない。
気のせいであってほしいと願いながらも心のどこかで先が長くないと言っていたことを受け入れなければならないと理解していた。