散華の麗人

対して、茶々は冷静だ。
(与吉郎殿のことか。)
茶々は思う。
「貴方は、陛下に認めて欲しいだけではありませんか?まるで、盲目でそれ以外が見えていないように見えます。」
「知った口をきくな。私の望みはあのお方の左腕。それだけだ。」
時雨は真っ直ぐな目で茶々を見据える。
「私は私がやるべきことをやる。」
(……あぁ、)
その言葉に茶々は思う。
(このひとは、真っ直ぐだ。真っ直ぐ過ぎて誤解されてしまうタイプだ。)
机へ向かった時雨にそう思う。
その背中を見ながら苦笑した。