散華の麗人

「時雨よ、そやつは敵ではない。見よ。バカモノも傍に居る。」
「はっ、これは失敬しました。」
時雨と呼ばれた者は陸羽に跪く。
「せやで。こいつは茶々。小間使いやで。」
態と、“小姓”ではなく、そう称するのに女扱いしているのが感じられて、茶々は不服そうだ。
「私は時雨だ。」
時雨は簡潔に茶々へ名乗る。
「時雨、茶々を部屋へ案内しなさい。」
「御意。」
陸羽にお辞儀をして茶々の先を歩く。
茶々はそれに着いていった。