散華の麗人

「もし、半月して動く目処が無ければ戦の準備を本格的に始めよう。」
「貴方が動かないならば、陸羽派の三分の一の戦力が動かないでござるな。」
「そうだ。言っておくが、意見を今更変える気はない。」
与吉郎に柚木は言う。
「それと、月雲を分城へ。」
柚木の言葉に驚いた気配がした。
雅之も驚いている。
「彼処には影武者が居る。」
「確かに、八倉殿が居るとは言いましたが……まさか、暗殺でも?」
「いいや。」
柚木は首を振る。
「暗殺ダッタラ、ワタシヲ行カセテルニ決マッテル。」
埜々がケケケッと嗤う。
「八倉雅之とは、遥葵の馴染みのようだ。何でも、恋人だとか。」
柚木はそう言うと、唸った。
「猶予は一ヶ月だ。だが、目処が立っているかを月雲に偵察してもらう。それに、万が一、此方を裏切る気があるかもしれない。」
そう言った時、襖が開いた。
「呼びましたか?」
気怠げな声がする。