散華の麗人

与吉郎は狼狽えた。
「しかし……」
「何ナラワタシガ殺シテヤロウカ。」
埜々と与吉郎の会話で、陸羽派は陸羽が統治していた頃に戻りたいのだと改めて確信した。
(確かに、国民の暮らしは今の方が豊かだが、兵士からすればそう思うのは当然。いくら、給与を上げたところで、同じだ。)
雅之は眉を寄せる。
「来月までに兵士の給与を上げれば戦は起こさない。そう、決めている。」
柚木は硬い口調で言った。
「フーン。イインダ。」
埜々はつまらなさそうだ。