散華の麗人

ふと、風麗の言葉が浮かぶ。

『昔、幼い頃に……よく一緒に話していました。その人は、身元は明かさずに朗らかに笑っていた。でも、ある日、解ったのです。その人は国王の後継だと。』

その者の国は清零国に滅ぼされた。
もしや、それは……
(柳晴、か。)
そうだとして、何故、傭兵に身分を明かさなかったのか。
憶測すると、恐らく彼は国王の後継をしたくない気持ちで、脱走した。
そして、傭兵を雇った。