ふと、そこに出入りする者を見つけた。
服装は地味で、背丈からして少年だろう。
(小姓か?)
雅之は凝視した。
辺りの様子を伺う仕草をして、屋敷に入る者を見ると後をつけた。
灯火がその者を照らすと、顔が解った。
(左腕!)
それは“国王の左腕”と称される小姓、与吉郎だった。
「来たか。」
柚木が屋敷から出る。
雅之は息を潜めた。