一正は心当たりがありそうな表情になって話を聞く。
「左腕ではないが、その座を誰よりも欲してる者。“人嫌いの平懐者”とされていても尚、決して忠誠を曲げない。」
「時雨、か。」
一正は立ち上がった。
「じゃあ、時雨を此方に呼ぼう。あいつは、本城に居る。」
「いいや。俺達が本城に行く。陸羽のじいさんの話も聞かなければならない。あの人も、何か考えがあるはずだ。それに、清零や元成田国王との謁見も未だだ。」
「……わし、本城嫌いなんや。」
雅之に一正は苦い表情になった。
「好き嫌いをこの状況に持ち込むな。低脳国王。」
「一言余計や!」
一正は目尻をつりあげた。