話を聞いた与吉郎は風麗を見据える。
「某はな。」
そう言って沈黙の後に話を切り出す。
「陛下がしていることを……間違いだとは思わぬ。然れど、変えるべきと思う。」
「それは、陸羽派だということですか?」
「違う。」
真っ直ぐと見つめる眼は澄んでいる。
「某が全てを変える。争うことのない、平和な世にする為に。」
「それは、陛下も同じ」
「陛下は民しか見ておらん。このような御布令とて、結局は民に怒りが向かぬようにしてのことでござろう。」
頑なな態度に風麗は口を噤む。
「貴方は……陛下の何が解る。」
諭すつもりで、攻撃的になった。
「国をまとめたことがない貴方に解りはしない。」
「……」
与吉郎は何か考えるような顔をした。
「その通りでござるな。」
そう言うと、背を向けた。
「御布令は出す。去れ。」
冷たい言葉に怒りとあきらめを感じて風麗は即座に解り合えないことを悟った。
「では。失礼。」
そう言って下がる。