遺体が腐敗しかけている為、全身には包帯が巻かれている。
「千代」
一正は妻を呼んで、遺体の目の部分の包帯を外す。
「見えるか?」
参列者を見回して言った。
「こんなに、たくさん……あんたの死を悲しむ奴が居る。あんた、幸せもんやなぁ……」
そう話しかけながら、火を焚く為の台の上に千代を横たわらせた。
「ほんと、に……幸せもんや。」
そう言って、火をかけた。
「千代……」
燃える妻を呼ぶ。